第1回 日本ウールサステナブル委員会セミナー
「繊維製品の情報開示ガイドラインに対してウールができること」
2025年4月22日、日本ウールサステナブル委員会は『繊維製品の情報開示ガイドラインに対してウールができること』をテーマに業界関係者を対象にしたセミナーを一宮商工会議所で開催しました。
会場には約140名、オンライン参加者は約190名が集まりました。
冒頭では一宮市の中野市長にご挨拶いただき、繊維産業の中心地として持続可能な取り組みを支援する姿勢が示されました。

一宮市の中野市長
続いて日本ウールサステナブル委員会の金田委員長からも開会の挨拶があり、セミナーの意義と今後の展望が語られました。
本セミナーは繊維業界における持続可能素材としてのウールの可能性を深く探る場となりました。

日本ウールサステナブル委員会 金田委員長(日本毛織株式会社)
第一部:サステナビリティ実現に向けた取組(経済産業省生活製品課:高木課長)
経済産業省生活製品課より、『サステナビリティ実現に向けた取組』について講演がありました。

経済産業省 生活製品課の高木課長
この講演では、繊維産業全体が直面する環境負荷の課題に対する政策的な取り組みが共有されました。
廃棄物削減、エネルギー効率化、透明性の確保が中心テーマとして挙げられ、これらの観点から持続可能な素材が求められる現状が説明されました。
この内容は、ウールを含む繊維素材が果たしうる役割を示唆しており、業界全体での具体的な行動が期待されています。
第二部: ウール業界ができること (サステナブル委員会:西沢氏、田先氏)

左:西沢氏(ザ・ウールマークカンパニー) 右:田崎氏(日本毛織株式会社)
日本ウールサステナブル委員会による講演では、以下の4つのポイントが取り上げられました。
1. 環境負荷の低減 : ウールは生分解性を持つ天然素材で、廃棄後も環境に優しい特性を発揮します。また、リサイクル可能な素材として、製品寿命を延ばし、廃棄物削減に寄与します。
2. 透明性の向上 : トレーサビリティシステムを構築し、生産工程を透明化する取り組みが進められています。これにより、消費者が製品の出所や生産過程を把握しやすくなっています。特に原毛段階での仕組みについて詳しい説明がなされました。
3. 動物福祉の推進 : ウール産業では、倫理的な動物飼育を重視しています。ミュールジング削減や快適な飼育環境整備が進んでおり、これが持続可能な生産基盤を支えています。
4. 低炭素社会への貢献 : 低炭素放牧技術を導入することで、炭素吸収能力を高めています。また、再生可能エネルギーの利用が進められており、サプライチェーン全体で環境負荷を軽減する努力が続けられています。
これらのポイントを通じて、ウールが繊維産業における解決策としてどのように役立つかが具体的に説明され、参加者からも多くの関心が寄せられました。

会場はほぼ満席で、みなさん、とても熱心にセミナーを受講されていました。

ウールの消臭実験などの展示コーナーも人気でした

海洋生分解試験の展示物
質疑応答への対応
本セミナーでは、参加者からの質問に対応するだけでなく、ウール業界に関連する多くの疑問に対応できるよう、事前に想定質問と回答集を準備し配布しました。
この資料では、ウールの二酸化炭素削減の取り組みや動物福祉の具体例、トレーサビリティの仕組みなど、多岐にわたるテーマが網羅されており、参加者の学びを深める有用な資料となったかと思われます。
また、セミナー後のアンケートでは、多くのポジティブな意見が寄せられ、ウール素材の価値を広く伝える必要性が再確認されました。
この資料は今後日本ウールサステナブル委員会のインスタグラム に掲載していきます。
次回開催に向けて
今回のセミナーは業界関係者を中心に開催し、ウール素材の持続可能性と業界全体の意識共有化に焦点を当てました。
次回はアパレル業界の関係者を対象に、ウール製品を実際に利用するアパレル業界視点からのセミナーを予定しています。
その後は学生や一般消費者を対象に、持続可能な素材としてのウールの魅力や環境への貢献についてより広く発信する予定です。
今後も日本ウールサステナブル委員会は、多様な視点を取り入れながら、持続可能な未来への貢献を目指して活動を進めてまいります。
これらのご意見を基に次回セミナーを企画し、さらに充実した内容をお届けする予定です。
持続可能な未来への貢献を目指し、これからも活動を進めてまいります。