キャンペーン戦略から健康・ウェルネスまで幅広い議論
総会2日目以降は、ウールの新たな価値創造と市場展開に関する議論が活発に行われました。



新時代のマーケティングアプローチ
「ウールキャンペーン」セッションでは、従来の機能性訴求から「ライフスタイルや価値観の表明」としてのウール選択へのアプローチ転換が提案されました。SNSやデジタルメディアを活用した感情訴求型キャンペーンの成功事例も多数報告され、特に若年層へのアプローチ戦略が注目されました。
小売現場の変化と対応
「ウール小売」セッションでは、消費者の「どこで・誰が・どう作ったか」を重視する傾向の高まりが報告されました。小売現場は「売る場所」から「ブランド体験の場」へと変化しており、ウールの高機能性・感性価値・ストーリー性が競争力の源泉となっています。
健康・ウェルネス分野への展開
3日目の「健康とウェルネス」セッションでは、ウールの新たな価値が科学的観点から紹介されました。敏感肌・アトピー性皮膚炎の症状軽減、睡眠の質向上、メンタルヘルスへの好影響など、人の健康・生活の質向上に果たすウールの役割が再評価されています。
2026年は中国・ダランで開催予定
閉会式では、2026年の第95回IWTO総会が中国・ダラン で開催されることが正式発表されました。世界最大の羊毛市場の一つである中国での開催は、グローバル市場との連携強化の観点からも大きな意味を持ちます。
美しい開催地リールの魅力
今回の総会が開催されたリールは、19世紀に開発された歴史ある街並みを持つ美しい都市です。繊維産業の伝統が色濃く残る地域でもあり、歴史的建造物「パレ・ド・ラ・ブルス」でのフォーマルディナーは格式ある雰囲気の中で国際的なネットワーク構築の場となりました。フランス北部の文化的中心地として、美しい石造りの建物や整備された街並み、豊かな歴史と現代が調和した環境は、参加者にとって忘れがたい印象を残しました。リール商工会議所での会議も、この地域の産業と文化の融合を象徴する素晴らしい会場でした。

今後の展望
今回の総会を通じて、ウール業界は単なる素材産業から「未来をつくる選択肢」を提供する産業への転換期にあることが明確になりました。持続可能性、トレーサビリティ、健康価値、文化的価値など、多面的なアプローチによってウールの新たな可能性が広がっています。
日本羊毛産業協会としても、これらの国際的な潮流を踏まえ、日本市場での羊毛の価値向上と普及促進に努めてまいります。