平成28年 年頭所感

                            

 新年おめでとうございます。

 昨年は当会にとって大きな転機となる年でありました。「羊毛紡績」から「羊毛産業」へという意思を反映し、日本羊毛紡績会から日本羊毛産業協会へと名称変更いたしました。同時に国際的窓口機能として国際委員会を設置した結果、新たに8社の新会員を迎えることができました。

 そして当会と密接な関係にあった一般財団法人 日本羊毛工業技術開発協会を解散しました。その公益事業は「羊毛の構造と物性」という羊毛科学に関する書籍を残す等社会に貢献することができました。この書籍以外にも「産学協同研究」、「人材育成・・・尾州テキスタイルカレッジへの助成」、「JISの改正作業」として貢献することができました。

 円安の進展が続く中、羊毛原毛相場は平成22年に高騰して以来、高止まりが続き、さらに上昇傾向にあります。小麦、綿花、牛など他の農産品との競合が羊頭数の減少につながることから、原毛相場の下落は当面望みうすの現状です。この原料高の影響からか、羊毛製品の生産量は秋口から低下基調となり、市場のウール離れが進むことが懸念されます。一方でエネルギーコスト上昇が危惧されてきましたが、現在は原油安のおかげで深刻な事態には至っていません。

 繊産連や経済産業省の取り組みが功を奏し、TPPをはじめとする経済連携協定の枠組みが大きく広がりました。さらにJ∞QUALITYなどの取り組みも実を結びつつあることは誠に喜ばしい事で、今後大いに追い風となることが期待されます。

 昨年は純毛製品にもエコマークを付けることができるようになりました。自然の恵みとしての羊毛の安全安心を訴求する道が広がりました。これも羊毛業界にとっての追い風の一つとなることでしょう。

 中国の変調や染料の高騰など問題は多々ありますが、羊毛産業は国内外の問題を克服し、新製品開発による輸出拡大などチャンスを逃さず産業基盤を強化していく所存です。

                      平成28年1月1日

                 日本羊毛産業協会  会長 長井 渡